アドラー心理学入門(岸見一郎)
アドラー心理学では、過去に「なぜ」を求めるのではなく、目標を設定しそれを追及する。つまり、「どこから」ではなく、「どこへ」を考えるということ。「なぜ」という問いは、心理学者でも答えることが難しく、将来への解決策を提示しない、時間の無駄である。
教育では、評価しない、という姿勢が大切である。それには、縦ではなく、横の関係を構築することが重要である。
子供とは、闘争をするもので、そういった子供たちには、「普通である勇気」を教えてあげることが必要である。そのために、自分の理想からの引き算をやめ、子供の存在そのものに感謝できるように考える。そうすることで、子供を他者と比較することなく、ありのままに受け入れることができる。
☆課題の分離
何か課題があるときには、その課題が誰のものであるのかということを明確にする。
他人の課題には他人の責任があるもので、自分が無理に介入しようという態度は、他者の結果に対して無責任な態度を育ててしまうかもしれない。
人の人生というのは、自分の置かれている環境や経験が決定づけるものではない。
人はそういったものから、自分でその意味を決定づけている。
ソクラテスは、獄中で座って死刑を待つ際、なぜ自分が獄中に座っているのかということの理由として、関節、骨、肉があるから座っていられるというような「身体的な理由」は「副原因」に過ぎないと言っている。「真の原因」とは、自分がアテナイ人に有罪判決を下され、それに従うのが善であると考えている、ということである。
アリステレスはさらに4つの理由に分けており、それを彫刻に例えている。まず大理石などの素材などがなければできない。それらは「素材因」、それを形作る彫刻家は「作用因」、モデルとなるイメージや物体を「形相因」、そして最後に、なぜ彫刻を作るのかという「目的因」がある。そしてソクラテスのいう「真の原因」とは、アリストテレスの「目的因」に相当する。
人の人生において、決定づけというのはこの「目的因」が行うということ。影響を与えうるものはあくまで「副原因」に過ぎない。
☆昨日と今日の自分を切り離す
働く中で会いたくもない人がいても、
朝になったら昨日までの出来事が水に流す。
これは「会議を制す心理学」の内容とも被る点がある。
過去に引きづられないこと。
過去の自分に今日以降の自分を決定付けさせないこと。
過去を今にどう影響させるかというのは、
自分で決めることができる。
楽観主義でいること。
常に目的に対して自分のベストを尽くすこと。
キーワード
目的論
真の原因
人生の嘘
仮想
楽観主義
楽天主義
悲観主義